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保証契約を分かりやすく解説!2020年の民法改正についても紹介

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保証契約を分かりやすく解説!2020年の民法改正についても紹介

保証契約は、さまざまな契約を結ぶ際に求められます。

しかし、複数の種類があり、契約に詳しい人でないと、全容を理解するのは難しいです。

この記事では、保証契約の種類やポイントを、初心者の方にも分かりやすく解説します。

安易に保証契約を結ぶと、思わぬ債務を背負ってしまうことになるので、ぜひ最後までご覧ください。

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この記事は20年以上金融サービスを提供してきたソモ㈱が執筆しています。

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保証契約とは

保証契約とは、主たる債務者(お金を借りた人)が債務を履行しない場合に、第三者である「保証人」が債務を履行する責任を負う契約です。
融資や賃貸借契約において保証契約が締結されるケースが多いです。

2020年の民法改正では保証人を保護するための規定が追加されました。しかし、保証人の責任は重いため、内容をよく理解したうえで契約をする必要があります。

保証契約が成立するための要件は、以下の3つです。

  • 書面または電磁的記録であること:口頭での契約は不成立
  • 公正証書による意思確認:事業による債務の場合のみ
  • 主債務の存在:主たる債務が消滅すれば保証債務も消滅する

保証契約には「随伴性」があることも特徴の一つです。

随伴性とは、主たる債務が他の人に移転した場合、保証債務も連動して移転することです。例えば、債権者がその債権を第三者に譲渡すると、保証人も自動的に新しい債務者に対して保証責任を負います。

また、保証契約には「連帯保証契約」と「根保証契約」といった類型があります。これらの違いについても理解しておきましょう。

連帯保証契約

連帯保証契約は、保証人が主債務者と連帯して同等の責任を負います。

通常の保証契約では、保証人は「まず主債務者に請求してほしい」という催告の抗弁権があります。

しかし、連帯保証契約には催告の抗弁権がないため、債権者から支払請求を受けたら、債務を支払う必要があります。

保証人が主債務者と同等の責任を負うことは、債権者にとって重要な意味を持ちます。

主債務者の返済能力に関係なく、連帯保証人に対して迅速な債権の回収や強制執行の対象とできるためです。

連帯保証契約を結ぶ場合は、主債務者と同等の重い責任を負うものであると認識しておきましょう。

根保証契約

根保証契約とは、継続的な取引において発生する、不特定の債務を保証する契約です。

通常の保証契約は、特定の債務のみを保証するものです。これに対して根保証契約は、将来にわたり不特定の債務を保証することが特徴です。

具体的には、以下のような契約で用いられます。

  • 賃貸借契約
  • 事業融資
  • 身元保証
  • 企業間の取引基本契約

根保証契約では、「元本確定」が重要です。

元本確定とは、将来的に発生する債務のうち、保証人がいつの時点までの債務を負うかを確定させることです。

元本確定により、確定日以降に発生する債務は保証の対象外となります。債務の総額が不確かな状態が解消される効果があります。

保証契約の3つのポイント

保証契約では、「分別の利益」や「催告の抗弁」「検索の抗弁」を理解する必要があります。

ここでは、保証契約の3つのポイントを解説します。

分別の利益

分別の利益とは、主債務者に代わって複数の保証人が返済をする場合、債務の総額を保証人の人数で案分した金額のみ払えばよいとする権利です。

例えば、500万円の債務に対して、保証人が2人であれば、各保証人は250万円までの責任しか負いません。

ただし、分別の利益は、連帯保証人には認められていません。連帯保証人は、他の保証人の数に関係なく、債務の全額について責任を負います。

催告の抗弁

催告の抗弁とは、保証人が「先に主債務者に対して請求するべきだ」と主張する権利です。

通常の保証契約では催告の抗弁が認められているため、主債務者への請求手続きをせずに、保証人に請求することはできません。

ただし、連帯保証契約では催告の抗弁は認められていないため、主債務者への請求を経ずに、連帯保証人への直接の請求が可能です。

検索の抗弁

検索の抗弁とは、保証人が「主債務者には弁済できる財産があり、その財産に対する強制執行が容易である」ことを証明したうえで、まず主債務者の財産を強制執行するように主張できる権利です。

ただし、連帯保証人には検索の抗弁権は適用されないため、債権者は連帯保証人の財産に対して、強制執行を求めることが可能です。

2020年の民法改正による保証契約の変更点

2020年の民法改正により、保証契約についても大きな変更がありました。

特に個人の保証人が負うリスクが限定されました。

個人根保証に上限額が定められた

個人が保証人になる根保証について、債務の限度額の上限を定めなければ、保証契約は無効となります。これにより、保証人は想定外の多額の債務履行を求められることを防げます。

この規定は、法人を保証人とする場合には適用されません。

情報提供義務が追加された

保証人を保護するために、主債務者および債権者の双方に、情報提供義務が追加されました。

保証人が十分な情報に基づき、リスクを把握したうえで保証契約を締結できるようにするためです。

主債務者は保証人に対して、以下の情報を提供する必要があります。

  • 主債務者の財産及び収支の状況
  • 主たる債務以外に負担している債務の有無や金額など
  • 主たる債務の担保として他に提供している、または提供しようとするものがあるか

主債務者が十分な情報提供をせずに、保証人が不本意な保証契約を結んでしまった場合には、一定の条件のもと保証人は保証契約を取り消すことが可能です。

公証人による保証意思確認手続きが追加された

事業用融資の保証契約を締結する場合は、保証人の意思確認をして、公正証書を作成する必要があります。意思確認は公証役場にて、公証人に意思確認をしてもらいます。

また、保証意思の有無だけでなく、支払い能力などの情報提供を適切に受けているかも確認されます。

公証人による保証意思確認手続きがない場合は、保証契約は無効となります。しかし、法人の保証人には保証意思確認手続きは不要です。

また、個人の保証人であっても、賃貸借契約のように事業性のない債務の保証は対象外です。

まとめ

保証契約とは、主たる債務者(お金を借りた人)が債務を履行しない場合に、第三者である「保証人」が債務を履行する責任を負う契約です。

保証者が主たる債務者と同等の返済義務を負う「連帯保証契約」や、継続的な取引で不特定の債務を保証する「根保証契約」などがあります。

保証契約を結ぶ際は、以下の3つのポイントを理解することが大切です。

  • 分別の利益:債務の総額を保証人の人数で割った金額を支払えばよい
  • 催告の抗弁:先に主債務者に請求するべきだと主張する権利
  • 検索の抗弁:主債務者の財産を証明したうえで、まずは主債務者の財産を強制執行するべきだと主張する権利

また、保証契約は2020年の民法改正により、個人の保証人の保護が強化されました。

具体的には、個人根保証に上限額の設定が必要・情報提供義務の追加・公証人による保証意思確認手続きなどです。

保証契約は思いもよらぬ負債を背負う可能性があります。契約を結ぶ前に、しっかりと制度を理解してください。

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