保険買取サービスとは?仕組みやメリット・デメリットを分かりやすく解説
金融メディア

生命保険は、長年にわたり、個人の生活保障の中心的な役割を担っています。
しかし、昨今の急激な物価変動や社会情勢の変化により、生命保険を現金化する需要が増えています。
この記事では、保険買取サービスの基本や仕組み、メリットデメリットを解説します。

この記事は20年以上金融サービスを提供してきたソモ㈱が執筆しています。

目次
保険買取サービスとは?初めての方でもわかる基本

保険買取サービスとは、契約者が加入している生命保険の権利を、保険期間の途中で第三者に売却して代金を受け取る仕組みです。第三者には投資家や専門の買取会社があります。
英語では「ライフセトルメント(Life Settlement)」と呼ばれています。欧米ではすでに確立された金融市場として機能しています。
生命保険の加入中に資金が必要になった場合、一般的な選択肢は「解約」か解約返戻金の範囲内で資金を借り入れる「契約者貸付」となります。これに加えて、保険買取サービスという選択肢が増えました。
保険買取サービスの仕組み
保険買取サービスは、「売主(保険契約者)」「買主(投資家や買取会社)」「被保険者」の三者で構成されます。
まず、売主が保有する生命保険契約の権利を、買主(買取会社や投資家)に譲渡します。代金は、買主が売主に対して、一括で支払います。
生命保険の権利が譲渡されたら、「契約者」および「保険金受取人」の名義が買主に変更されます。
名義変更後は、買主が保険料を支払います。売主は名義変更以後の保険料を支払う必要はなくなり、家計の固定費を削減可能です。
一方で、将来的に被保険者が死亡した際、保険会社から支払われる死亡保険金は、権利を買い取った買主が受け取ることになります。
保険を解約する場合との違い
保険買取サービスと保険解約の大きな違いは、受け取れる金額にあります。
保険を解約する場合、保険会社から「解約返戻金」を受け取れます。解約返戻金は、契約時の年齢や経過年数、予定利率などに基づき、あらかじめ保険会社が約款で定めています。
解約返戻金は、被保険者が健康であろうと、余命いくばくもない状態であろうと、契約条件が同じであれば金額も同じです。
一方で、保険買取サービスの買取金額は、被保険者の健康状態や介護などの状況により左右されます。
重い病気を患っている・高齢であるなど、将来的に保険金が支払われるまでの期間が短いと予測されると、買い取り代金が高くなります。
| 保険解約 | 保険買取サービス | |
| 手続き先 | 加入している保険会社 | 買取会社 |
| 金額の決定要因 | 約款による固定的な算出 | 被保険者の病状、介護度、期待余命 |
| 金額の水準 | 相対的に低い(解約返戻金) | 解約返戻金よりも高い場合が多い |
| 保険料の支払い | 終了(契約消滅) | 終了(買主が引き継ぐ) |
| 契約の継続性 | 消滅する | 継続する(買主が管理) |
| 死亡時の支払い | なし | 買主に対して支払われる |
保険買取サービスのメリット

保険買取サービスは、解約より多くの金額を受け取れる可能性があり、お金を早めに受け取れます。
ここでは、保険買取サービスのメリットを解説します。
解約より多くの資金を受け取れる可能性がある
保険買取サービスが利用される大きな要因は、解約返戻金よりも多くの資金を受け取れる可能性があるためです。
生命保険に長年加入していても、解約返戻金はそれまでの払込保険料を下回ることが多いです。
しかし、保険買取サービスは、被保険者の状態にもよりますが、解約返戻金に上乗せして買い取られるケースが多いです。
何らかの事情により、急にお金が必要となった場合、保険買取サービスは有力な選択肢となるでしょう。
まとまったお金を早めに受け取れる
生命保険の本来の目的は、死亡時に遺族にお金を残すことです。
しかし、保険買取サービスを活用すれば、自分自身が生きているうちにお金を受け取れます。
保険買取サービスで受け取ったお金は、使い道の制限は無く、返済義務もありません。
金融機関から融資を受けるのが困難な高齢者や、健康上の理由で就労が難しい人などは、自身の権利を売却して資金を得られるので、有力な資金調達となるでしょう。
保険買取サービスのデメリット

保険買取サービスは、すべての保険が対象とはなりません。
ここでは、保険買取サービスのデメリットを解説します。
すべての保険が対象になるわけではない
保険買取サービスは、すべての保険が対象となるわけではありません。
対象となるのは、「被保険者が死亡した際に保険金が支払われる生命保険」です。以下のような保険は、一般的に対象外となります。
- 医療保険、がん保険
- 損害保険
- 掛け捨て型の定期保険
上記の他に、保険会社が譲渡を認めていない場合や、特殊な特約が付帯している場合などは、買取を拒否されることもあります。
将来の保障がなくなる可能性がある
保険を売却すると、将来、被保険者が亡くなった際に家族が受け取るはずだった保険金が、第三者の手に渡ります。
売主は買取代金と保険料免除という恩恵がありますが、遺族の生活原資としての保障は失われます。
売却手続きが完了すると、ほとんどの場合、買戻しはできません。また、健康状態が悪化していると、同条件の保険への加入も難しいでしょう。
このような理由から、家族の同意を得ずに手続きを進めると、大きなトラブルに発展する可能性があります。
将来の家族設計を十分に考慮して、売却の検討を進めてください。
受け取れる金額は保険内容によって異なる
保険の買取金額は、被保険者の状況や、市場の金利状態などによって異なります。
そのため、必ず解約返戻金よりも大幅に高くなるという保証はありません。
- 買取代金は、以下のような要素に左右されます。
- 現在の解約返戻金額:買取額の下限
- 死亡保険金額:買取額の理論的な上限
- 今後の払込保険料:買主が負担するため、高いほど買取額が抑制される
- 期待余命:期間が短いほど買取額が上昇する
これらの条件の組み合わせによっては、解約返戻金とあまり変わらない金額になるケースもあります。
保険買取サービスを利用する流れ

実際に保険買取サービスを利用する際の手続きは、以下の流れで進んでいきます。
①相談・初期診断
まずは買取会社に対して、加入している保険証券や設計書の情報を提示して、概算での買取可能額を確認します。
②医療情報の提供
買取が可能だと判断されたら、被保険者のかかりつけ医から診断書を取得して、買取会社に提出します。
③本査定
買取会社が期待余命を算出して、具体的な買取金額を提示します。この査定には数週間かかります。
④契約締結
金額に合意したら、正式な契約書を取り交わします。配偶者や保険金受取人などの関係者の合意も確認するのが一般的です。
⑤名義変更と送金
保険会社に対して、契約者と受取人の名義変更をします。名義変更の手続きが完了すると、買取会社から代金が振り込まれます。
まとめ
保険買取サービスとは、生命保険の権利を、保険期間の途中で第三者に売却して代金を受け取る仕組みです。
保険を解約した際の「解約返戻金」よりも受け取れる金額が多くなるため、急に大きな資金が必要となった人が利用しています。
ただ、生命保険を売却すると、将来の保障がなくなってしまいます。また、受け取れる金額が、解約返戻金と大きく変わらないケースもあります。
メリットとデメリットを把握したうえで、保険買取サービスを活用してください。