企業間決済とは?具体的な決済方法やメリットを解説
金融メディア

数多くの商品を売り買いする企業は、「企業間決済」の効率化が欠かせません。
しかし、企業間決済の定義や決済方法・効率化のための仕組みなどを知らない人も多いです。
この記事では、企業間決済と個人向け決済の違いや、企業間決済における課題などを解説します。

この記事は20年以上金融サービスを提供してきたソモ㈱が執筆しています。

目次
企業間決済とは?基本的な仕組みを解説

企業が商品やサービスを提供する際に必要となるのが「決済」による資金循環です。
企業同士でおこなわれる「企業間決済(BtoB決済)」は、個人との決済よりも複雑な構造になっています。
ここでは、企業間決済の定義や個人向け決済との違いなどを解説します。
企業間決済(BtoB決済)の定義
企業間決済とは、企業(法人または個人事業主)間の商取引で発生する、代金の請求から回収・および支払いまでの一連の流れです。
企業間決済の最大の特徴は、取り引きの都度、支払いをするのではなく、一定期間の取引をまとめて決済する「掛売り」です。掛売りでの企業間決済は、双方の信用に基づいておこなわれます。
商品やサービスが提供された時点で、買い手側には「買掛金」、売り手側には「売掛金」が発生します。買掛金と売掛金は、あらかじめ定めた支払期日(翌月末など)に一括して精算します。
個人向け決済との違い
個人向け決済には、レジでの支払いのように、商品の受け取りと支払いが同時に発生する「即時性」があります。企業間決済の「後払い」との大きな違いといえるでしょう。
また、企業間決済には「与信審査」があることも特徴です。
個人向けの決済でもクレジットカードの入会審査は存在しますが、企業間決済は取引額が高額かつ、取り引きが長年にわたり継続されます。そのため、相手企業の支払い能力を調査する「与信審査」が不可欠です。
不払いや相手企業の倒産は、自社の経営危機に直結するので、厳格な信用管理が求められます。
企業間決済の主な利用シーン
企業間決済は、ビジネスのバリューチェーン全体に及んでいます。
例えば、製造業における原材料の調達です。メーカーが製品を作るために必要な素材を他社から仕入れた際は、代金の支払いに企業間決済が用いられます。
通常、メーカーは同一のサプライヤーから月に何度も仕入れをします。そのため、都度支払をするのは非効率であり、月まとめの決済の方が合理的です。
その他にも、オフィス賃料の支払いや、システム開発・保守の委託費用・広告宣伝費などの「非製造原価」の支払いも企業間決済の対象です。
また、卸売業者から小売店への商品納入においても企業間決済は欠かせません。小売店は商品を販売して得た現金をもとに、仕入代金の支払いをおこないます。
掛売りの仕組みは、小売店のキャッシュフローを維持するための、重要な金融機能としても働いています。
企業間決済の主な方法と種類

企業間決済には、銀行振込や手形・小切手・口座振替などがあります。
ここでは、企業間決済の主な方法を解説します。
銀行振込
銀行振込は、企業間決済において標準的に利用されている決済方法です。
売り手が発行した請求書に基づいて、買い手が指定された銀行口座へ代金を送金します。現在では、オフィスから一括で複数の取引先へ送金できるため、経理担当者の手間が大幅に削減されています。
しかし、銀行振込は「手数料の負担」という課題があります。一般的に、振込手数料は支払い側が負担することが多いです。
しかし、契約により売り手側が負担をするケースもあり、どちらが負担する課の調整が実務上の手間となります。
手形・小切手
手形と小切手は、現金の代わりに「証券」を介して支払いをおこなう伝統的な決済手段です。
小切手は振出人が当座預金口座に資金があることを前提に発行します。受取人は銀行に持ち込むことで、即座に現金化が可能です。
手形には、将来の支払期日が記載されています。その期日が到来するまで、受取人は現金化できません。ただし、手形には法的な保証(不渡りによる制裁)があるため、受取人は支払期日に必ずお金をもらえるという安心感を得られます。
手形や小切手には、紛失や盗難のリスクがあります。また、印紙税の負担や管理の煩雑さなど多くの負担を抱えています。
そのため、日本政府は2026年度末までに紙の手形や小切手の廃止を目指しています。代替手段として「でんさい(電子記録債権)」への普及が進んでいます。
口座振替
口座振替は、あらかじめ取り交わした契約により、買い手の銀行口座から、売り手が自動的に代金を引き落とす決済手段です。
公共料金や家賃・通信費のほか、定期的な保守費用やSaaSの利用料など、継続的な取引において有効な方法です。
双方の事務作業が簡素化されるメリットがあり、振込み作業を忘れるリスクもなくなります。
ただし、口座振替をするには「口座振替依頼書」の作成や銀行での手続きが必要などの初期コストが存在します。
企業間決済における課題とは?

長年の商習慣に基づいた日本の企業間決済システムは、安定性がある一方で効率性やリスク管理の面で現代ビジネスとは合わない側面があります。
ここでは、企業間決済における課題について解説します。
入金サイトの長期化による資金繰りの問題
企業間取引における最大の構造的課題は、商品提供から現金回収までの「入金サイト」の長さです。
掛売りの仕組み上、企業は原材料費や人件費を先に支払い、売上代金を受け取るのは数か月先です。
入金サイトが長期化すると、経営状態が黒字であっても手元の現金が枯渇する「黒字倒産」のリスクに直面します。
特に急成長中の企業ほど仕入や販管費が先行して膨らみます。そのため、回収の遅れが致命的な打撃となるケースもあるのです。
貸し倒れリスク
入金サイトの長期化は、貸し倒れリスクにも直結します。
どれほど緻密な与信審査をおこなっても、取引先の業態悪化や倒産による貸し倒れリスクをゼロにすることは不可能なためです。
未回収が発生した場合、利益が減るだけではありません。回収するための人件費や法的な手続き・督促業務には多くのコストが発生します。
請求・入金管理の業務負担
企業間決済に関わるバックオフィスの業務は、企業の生産性向上の妨げとなっています。具体的には、以下の3つのプロセスの負担が大きいです。
- 請求書の送付:月末などの締め日に数百から数千社分の請求書を正確に作成して、郵送する作業は、多くの企業で手作業で行われている
- 消込作業:銀行の入金明細と請求データを照合は、名義不一致や合算入金などにより複雑化しやすい
- 督促の心理的コスト:入金のない取引先への督促は担当者にとって精神的な負荷が高い
上記の非効率を解消するために、業務のDXが急務となっています。
企業間決済サービスとは?導入するメリット

企業間決済の業務負担を減らすために、最新のテクノロジーを活用した「企業間決済サービス(BtoB決済代行サービス)」があります。
企業間決済サービスは、請求書の発行から代金回収・与信管理までを一手に引き受けるサービスです。
ここでは、企業間決済サービスを導入するメリットを解説します。
業務効率化とコスト削減
企業間決済サービスを導入すると、企業は煩雑なバックオフィス業務から解放されます。
サービス提供者が、請求書の発行や送付・入金消込を代行するためです。
これまで数日かかっていた作業が手間なく完了するため、コア業務に集中できるようになるでしょう。
また、紙の請求書からデジタル請求書へ移行すれば、輸送費や印紙税などのコストを大幅に削減可能です。
未回収リスクの軽減
企業間決済サービスには、入金保証が付帯しているものがあります。万が一、取引先が支払いを遅延したり倒産したりした場合でも、決済代行会社が代金を立て替えて支払う仕組みです。
企業は貸し倒れリスクは外部へ移転できるため、回収不能に寄る経営不安を解消できます。また、決済代行会社が保有する膨大な取引データとAIを活用した与信管理システムにより、自社では判断が難しい取引先に対しても、適切な与信枠を提示できるでしょう。
まとめ
企業間決済とは、企業間の商取引で発生する、代金の請求から回収・および支払いまでの一連の流れです。
個人間決済は商品の受け取りと支払いが即時に完了しますが、企業間決済は一定期間の取引をまとめて決済する「掛売り」が主流です。
企業間決済には、銀行振込や手形・小切手・口座振替などがあります。
日本の商習慣に根付いた企業間決済ですが、入金サイトの長期化や貸し倒れリスクなど、いくつかの課題があります。
現在では企業間決済サービス(BtoB決済代行)があり、自社の決済を代行してくれます。企業間決済サービスやDXを活用して、業務を効率的に進めましょう。