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【具体事例アリ】サステナブルファナンスの広がりと対応について解説!

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【具体事例アリ】サステナブルファナンスの広がりと対応について解説!

SDGs(持続可能な開発目標)を達成するには、金融面からの支援が欠かせません。
そこで注目されるのがサステナブルファイナンスです。
この記事ではSDGsを達成するために必要な、サステナブルファイナンスとは何か、具体事例などについて解説します。

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この記事は20年以上金融サービスを提供してきたソモ㈱が執筆しています。

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持続可能な社会に必要なサステナブルファイナンスとは

サステナブルファイナンスの概要

サステナブルファイナンスとは、気候変動や貧困、教育、ジェンダー平等など持続可能な社会の課題に対し、金融の力で課題を解決していくための取り組みです。
これまで多くの資源を消費し経済活動を営んできましたが、地球全体の環境悪化により危機感が高まり、持続可能な社会に対する意識が高まっています。この危機感がサステナブルファイナンスの根幹にあります。

サステナブルファイナンスは、SDGs(持続可能な開発目標)によりブームのようになっていて、認知度も上がってきています。
しかし、ブームで終わらせることなく、社会に根付いた金融の仕組みとする必要があります。
金融で社会課題の解決を後押ししても、一般の人の意識が変わらなければ持続可能な社会は作れません。
サステナブルファイナンスを拡大させるだけでなく、持続可能な社会に対するリテラシーを持った人を増やすような取り組みが大切です。

SDGsについては、以下の記事をご覧ください。

https://note.com/somo_fintech/n/n88a39031415c

日本におけるサステナブルファイナンス

サステナブルファイナンスというと、欧米が本場のイメージがあります。
しかし、日本でもサステナブルファイナンスが広がりを見せています。
持続可能な社会に対する取り組みをしている企業に対して、金利を減免する融資の「サステナビリティ・リンク・ローン」というものがあります。
以前は主にメガバンクが取り扱っていましたが、現在では多くの地方銀行も取り扱いをしています。
ただ、金利を減免すると、金融機関にとっては収益が減ってしまいます。
経済的合理性がないと投資家からクレームが入り、サステイナブルファイナンスは後退してしまうでしょう。
これを防ぐためには、持続可能な社会への投融資の取り組みが、自社に対してどのようなメリットがあるかを数値化していく必要があります。
しかし、まだその段階には進めていないのが現状です。

世界のサステナブルファイナンスに関連する債権の発行価格は、以下のように増え続けています。
ESG関連の債権金額が増えるにつれて、多くの人が持続可能な社会について考えるようになり、世界的な認識も変化していくでしょう。

引用:金融庁「今後のサステナブルファイナンスの取組みについて

サステナブルファイナンスの代表的手法

サステナブルファイナンスには、どのような手法があるのか解説します。

・ESG投資

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った略語です。
投資をする際に財務面や将来性などだけではなく、ESGを考慮することをESG投資といいます。
投資家がESGを考慮した企業に積極的に投資をするので、企業側はESGに力を入れる必要があります。

ESG投資は2006年に国連が「責任投資原則(PRI)」を提唱したことにより、一気に広まりました。
PRIとは、企業の分析や評価をする際に、投資家に対して長期的な視点でESGを考慮した投資行動をするように求めるものです。
日本では2015年に世界最大規模の機関投資家である「年金積立金管理運用独立機構(GPIF)」がPRIに署名をしたことで広く認知されました。
GPIFの保有している国内株式のうち11.3%がESGを考慮した投資です。

・サステナブル融資

サステナブル融資は、金融機関が融資をする際にESGを考慮する融資です。代表的な例としては、金融機関が持続可能な社会に関するポリシーを策定することがあります。

持続可能な社会に関するポリシーは、セクター別に作成されることが一般的です。
例えば、以下のようなポリシーがあります。

・新設の石炭火力発電所向けの投融資はしない
・児童労働や強制労働など、人権侵害が起きている事業への投融資はしない
・森林伐採に関する事業への新たな融資は、地域社会や環境に他する配慮を考慮の上、慎重に対応する

このようなポリシーに則った融資を行えば、必然的に持続可能な社会を考慮しない事業への融資はなくなっていきます。

・SDGs債

SDGs債とは、持続可能な社会を達成するための取り組みに、資金の使い道を限定した債券です。
SDGs債は一般企業だけでなく、公的事業資金の新たな調達方法として注目されています。
東京都は2017年からSDGs債を発行しており、2021年度には400億円規模となりました。
しかし、長年にわたる低金利の影響により、SDGs債に金利的なプレミアムを乗せるのが難しい状況です。
そのため、投資家の興味を引くように、何のためにSDGs債を発行するのかを明確化することが求められています。

グリーンファイナンス、グリーンボンドとは

サステナブルファイナンスの課題は、SDGsの目標を見れば分かるように、かなりの広範囲に渡ります。
持続可能な社会を達成するための課題の中でも、特に環境問題にコミットしたものを「グリーンファイナンス」といいます。

・グリーンファイナンスの対象

グリーンファイナンスの対象は、太陽光発電所の建設・エコカーの開発・省エネ設備の導入・植林活動・ごみ削減など、地球の環境をよくするものです。
これらの事業に対し、グリーンファイナンスは資金を提供します。

・グリーンボンドとは

グリーンボンドとは、企業や地方自治体などが、環境問題に関する事業のために発行する債券です。
調達した資金は環境問題のためだけに使われ、使用用途が追跡管理されます。
グリーンボンドを発行するメリットは、以下の通りです。

①サステナビリティを意識した経営をアピールできる
②環境問題を意識した新たな投資家と関係性を築ける
③企業のサステナビリティな経営を推進できる

企業側にはこのようなメリットがあるため、日本国内におけるグリーンボンドの発行額は年々増加傾向です。

引用:環境省「グリーンファイナンスポータル

サステナブルファイナンスの具体例を紹介

最後に、各企業が取り組んでいるサステナブルファイナンスの具体例を紹介します。

川崎汽船株式会社

海運大手の川崎汽船は、自動車やLNG・液化ガスなどを輸送している関係で、環境問題と関わりが深い企業です。
2015年に「”K”LINE 環境ビジョン2050」という環境に関わる長期指針を策定しました。
2021年にはトランジョンローンを活用して、次世代型環境対応LNG燃料自動車専用船を導入しました。
トランジョンローンとは、脱炭素に向けた取り組みへの融資です。
この船を導入したことで、CO2の排出量は約45%改善、硫黄硫化物の排出はほぼ100%削減、窒素酸化物の排出は80~90%を削減できます。

 

*トランジョンローンにより導入した次世代型環境対応LNG燃料自動車専用船

また、川崎汽船はトランジョン・リンク・ローンを利用して、1100億円を調達しています。
トランジョン・リンク・ローンとは、脱炭素に向けた長期的な戦略に取り組んでいる企業の支援を目的とした融資です。
このローンでは、事前に数値目標を設定して、借り手の達成度合いに応じて貸出条件を変動させます。
数値目標を設定することで、企業に持続可能な社会への取り組みを強く推進させる融資として注目されています。

株式会社小松製作所

建設機械大手の小松製作所は、2020年にグリーンボンドで100億円の資金調達をしました。
調達した資金の用途は「プロジェクトA」と「プロジェクトB」の2つがあります。

・プロジェクトA
プロジェクトAは建設機械を使用することにより環境課題への対策を行います。
2030年までに製品稼働中のCO2排出を50%削減するために、ハイブリッド油圧ショベルの開発・提供や、IoT技術活用による低燃費運転支援、施工全体の最適化を支援するアプリケーション提供などを行います。

・プロジェクトB
プロジェクトBは建設期間の生産による環境課題への対応を行います。
工場内建屋及び設備の省エネ化、ソーラーパネル設置による太陽光発電やバイオマス発電の導入、再生可能エネルギーの購入が軸となっています。

小松製作所のグリーンボンドには、十六銀行や日本生命保険相互会社・長野信用金庫・名古屋銀行・三井住友トラスト・アセットマネジメントなど多くの投資表明がありました。

まとめ

サステナブルファイナンスは、持続可能な社会への課題に対し、金融面から支援をする取り組みです。
代表的な手法としては、ESG投資・サステナブル融資・SDGs債があります。持続可能な社会への関心が高まるにつれて、サステナブルファイナンスを利用した資金調達が増えていくでしょう。
いまは大企業がメインですが、近い将来、中小企業もサステナブルを意識した経営が求められるようになります。
早い時期にサステナブルな経営を意識して、会社にリテラシーを構築していきましょう。

 

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