第4回 銀行に聞かれても答えられない…

~決算書が読めない社長に起こること~
レイナ先生、今度、銀行に融資の相談に行くことになったんですが、決算書の内容を聞かれたらどうしようかと不安なんです。決算書は税理士さんに作ってもらっているので、正直、数字の意味まではよく分かっていなくて……。
そうなんですね。ところでマコト社長、銀行から『去年より利益が減った理由は何ですか?』と聞かれたら、どう答えますか?
うーん……。売上はそれなりにあるんですが、利益が減った理由までは把握していません。税理士さんに確認してから回答するのではダメでしょうか?
分からないことを税理士さんに確認するのは問題ありません。ただ、銀行は数字だけでなく、社長自身が会社の経営状況や今後の見通しを把握しているかも確認しています。
決算書は、いわば会社の健康診断書です。自社の状況を説明できなければ、銀行も安心して融資できませんよね。
今回は、決算書を理解していないことで起こる問題について、一緒に考えてみましょう。
決算書は税理士に任せておけば大丈夫?
「決算書は税理士に任せているから、自分は内容を詳しく知らなくても大丈夫」
そう考えている経営者もいるのではないでしょうか。
確かに、決算書の作成には専門的な知識が必要です。税理士に任せること自体は問題ありません。
しかし、決算書を作成できることと、その内容を理解していることは別の話です。
決算書には、会社の売上や利益だけでなく、資産や借入金など、経営状態を知るための大切な情報が記載されています。
例えば、売上が前年より増えているのに利益が減っていたとします。
その理由は、仕入れ価格の上昇かもしれませんし、人件費や広告費が増えたからかもしれません。
経営者がその原因を把握していなければ、今後どのような対策を取るべきか判断することも難しくなります。
決算書は、税務申告や銀行への提出のためだけにあるものではありません。
会社の現状を正しく知り、次の経営判断に活かすための資料でもあるのです。
銀行が決算内容を説明できない社長に不安を感じる理由
銀行に融資を申し込むと、決算書の提出を求められるのが一般的です。
銀行は決算書などをもとに、会社の財務状況や返済能力を確認します。
その際、経営者に対して決算内容について質問することがあります。
例えば、次のような質問です。
- 「売上が増えているのに、利益が減ったのはなぜですか?」
- 「借入金が前年より増えていますが、何に使いましたか?」
- 「今後、どのように利益を確保していく予定ですか?」
いずれも、自社の経営状況を把握していれば、ある程度説明できるはずの内容です。
ここで、ある会社のケースを考えてみましょう。
その会社では、前年より売上が増えたものの、利益は減少していました。
経営者は融資の相談でその理由を聞かれましたが、「詳しいことは税理士に任せているので分かりません」と答えました。
さらに、借入金をどのように返済していくのかについても、具体的な説明ができませんでした。
銀行の担当者はどう感じるでしょうか。
売上が増えているという良い材料があっても、利益が減った原因や今後の見通しが分からなければ、返済できるかどうかを十分に判断できません。
一方、同じ状況でも、
「仕入れ価格の上昇で利益が減りました。現在は販売価格を見直し、来期は利益の改善を目指しています」
と説明できれば、銀行も会社の状況や今後の対策を理解しやすくなります。
もちろん、説明できれば必ず融資を受けられるわけではありません。実際の審査では、財務状況や返済能力など、さまざまな要素が考慮されます。
しかし、経営者自身が数字を把握し、問題と対策を説明できることは、銀行との信頼関係を築くうえで大切な要素です。
銀行が見ているのは、過去の数字だけではありません。その数字を経営者がどう受け止め、今後どのように会社を経営していくのかという点も重要なのです。
経営者が最低限押さえておきたい3つのポイント
では、経営者は決算書のすべてを理解しなければならないのでしょうか。
決して、そんなことはありません。
まずは、次の3つを押さえることから始めてみましょう。
① 売上と利益はどう変化しているか
前年と比べて、売上や利益が増えているのか、減っているのかを確認します。
数字の増減を見るだけでなく、その理由を説明できることが大切です。
② 会社にはどのくらいのお金と借入金があるか
利益が出ていても、手元のお金が不足すれば支払いに困ることがあります。
預金残高や借入金の状況を確認し、今後の支払いに問題がないか把握しておきましょう。
③ 今後、どのように経営を改善していくか
数字から見えてきた課題に対して、どのような対策を取るのかを考えます。
例えば、利益が減っているのであれば、販売価格や経費を見直すことも選択肢の一つです。
大切なのは、決算書に書かれた数字を暗記することではありません。
数字が示している会社の状態を理解し、自分の言葉で説明できるようになることです。
難しい会計用語を覚える前に、まずは税理士と一緒に決算書を確認し、気になる数字の理由を質問することから始めてみてはいかがでしょうか。
今回のまとめ
今回のポイント
✓ 決算書は、会社の経営状態を把握するための大切な資料です。
✓ 銀行との信頼関係には、経営者自身が決算内容を説明できることが大切です。
✓ 売上・利益・手元のお金を把握し、経営判断に活かしましょう。
決算書は、経営者を困らせるためのものではありません。
会社の現在地を知り、これから進む方向を考えるための道具です。
まずは自社の決算書を開いて、「この数字はなぜこうなっているのだろう?」と考えることから始めてみましょう。
次回予告
第5回 売上より先に見るべき数字
売上が増えれば、会社の経営は安定するのでしょうか。
次回は、売上だけでは分からない会社のお金の状態と、経営者が日頃から確認しておきたい数字について解説します。


