第2回 売上はあるのに、なぜ会社は潰れるのか?

~経営者が最初に知るべきお金の現実~
レイナ先生、売上が伸びていれば、会社はうまくいくものじゃないんですか?売上があるのに会社が潰れることもあると聞いて、少し不安になりました。
売上が伸びるのは良いことです。ただし、売上と手元にあるお金は同じではありません。商品やサービスを提供しても、代金が入るのは翌月や数か月後ということもありますよね。
たしかに、今月の売上がすべて今月中に入ってくるわけではありません。でも、帳簿上は利益が出ているなら、それほど心配しなくてもよいのではないでしょうか?
そこが、多くの新米社長がつまずきやすいところです。会社は帳簿上の利益ではなく、実際に使えるお金がなくなったときに経営を続けられなくなります。売上があるのに給料を払えない会社も、決して珍しくありません。では、利益が出ているはずの会社から、なぜお金がなくなってしまうのでしょうか?
売上と手元のお金は別のもの
会社が続くかどうかを考えるとき、売上だけを見ていてはいけません。大切なのは、「いつ、いくら入ってきて、いつ、いくら出ていくのか」を把握することです。
たとえば、今月100万円を売り上げても、入金が2か月後なら、今月使えるお金が100万円増えるわけではありません。一方で、給料や家賃、仕入代金などの支払いは待ってくれません。
さらに、金融機関から借りたお金の返済もあります。借入金の返済によって毎月お金が出ていくため、帳簿上は利益が出ていても、手元のお金は減っていくことがあります。
このように、お金が入る時期と出ていく時期のズレによって、会社の資金繰りは苦しくなります。売上があるから大丈夫ではなく、支払日に必要なお金が残っているかを見ることが重要です。
お金が足りなくなった会社に現れる危険信号
私がこれまで見てきた、高金利で借入をしている会社の多くでは、次のようなことが起きていました。
- 顧客から預かったお金を、日々の支払いに使ってしまう
- 従業員の給料を期日どおりに払えなくなる
- 家族や親戚からお金を借りる
いずれも、一時的に支払いを乗り切る方法に見えます。しかし、会社のお金が足りないという根本的な問題は解決していません。
不足したお金を高金利の借入で補えば、毎月の返済負担はさらに大きくなります。その返済のために別のところからお金を用意し、また新たな返済が増える。この状態が続くと、売上があっても手元にはお金が残りません。
実際に、そのまま倒産した会社もあれば、会社を清算し、社長が勤めに出ることになったケースもあったそうです。
問題を深刻にしたのは、資金不足だけではありません。「来月には売上が入るから大丈夫」「もう少し続ければ何とかなる」と判断を先延ばしにしてしまったことも、大きな要因です。
経営者にとって、自分の会社が苦しいと認めるのは簡単ではありません。しかし、顧客の預り金や家族からの借入に頼り始めているなら、それは単なる一時的な不足ではなく、会社からの危険信号と考える必要があります。
苦しくなったときほど、早く決断する
資金繰りの悪化を防ぐために、まずは毎月のお金の出入りを書き出してみましょう。
確認したいのは、次の3つです。
- いつ、いくら入金されるのか
- いつ、いくら支払う必要があるのか
- 支払い後に、いくら残るのか
難しい表を作る必要はありません。数か月先までのお金の動きを並べるだけでも、「来月は足りるけれど、再来月は不足する」といった兆候に早く気づけます。
そして、資金繰りが苦しくなったと感じた時点で、金融機関やお金の専門家に相談することも大切です。相談が早ければ、返済計画や支払い条件の見直しなど、選べる対策も多く残されています。
大切なのは、相談するだけで終わらせず、助言を受け入れて行動に移すことです。「何とかなる」と先送りにするのではなく、状況を見て決断することも経営者の仕事です。
今日のまとめ
今日のポイント
✓ 売上や利益があっても、手元にお金があるとは限りません。
✓ 預り金の使用や給料の遅れ、家族からの借入は資金繰り悪化の危険信号です。
✓ お金が苦しくなったら、早めに相談し、行動に移すことが重要です。
次回予告
次回は、会社のお金の流れを把握するための「資金繰り」について取り上げます。
専門的で難しそうに聞こえますが、見るべきポイントはとてもシンプルです。会社のお金が足りなくなる前に気づくために、経営者が何を確認すればよいのかを分かりやすくご紹介します。


